回想

2008年3月23日 日常
板橋区に在る緑色のアパートの2階に、彼は確かに住んでいた。
そのアパートに行くまでの細い道の、向かって右側の塀の上には猫が寝ていたので
なんだか漫画みたいだなぁと思った。

「部屋、汚いよ。」と言ったのは謙遜で
上がらせてもらうと服や書物やギターが少し散らばっていたくらいで
特に汚い印象はなく、むしろ私の部屋より綺麗だった。

お客を招いておきながら彼は疲れていると言って寝てしまった。
私も疲れていたから横にならせてもらった。
なるべく邪魔をしないように、端っこへ端っこへ体を寄せた。
そのせいで右足は完全に床に落ちた。

しかしこんな状況で眠れるはずがない。
緊張と興奮と不安と罪悪感で寝る気になれない。
仕方がないので他人が居るというのに深く眠ってしまった彼の顔を観察して遊んだ。
鼻が高く、きれいな形をしていた。
骨張っているのが男性らしいなと思った。

寝顔をずっと見ていてもさすがに飽きるので
ベッドに腰掛け、ブラックジャックを読んだ。
開けてあった窓からは初夏の心地良い風が入ってきて、もう一方の窓からは夕焼けのオレンジ色が射し込んでいて、懐かしいような帰りたいような帰りたくないようなずっとここにいたいようなそんな気持ちになった。

ようやく起きた彼に、勝手に読むなと怒られた。



というのは数年前の話。
ニュースでそこの地名がダイレクトに出て驚いたのはそれから数年後の話。

当時の彼と同じ年になったというのに私ときたらこの有様。

彼彼言ってるけど、彼氏という意味ではないデス。

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